6.ダイバーの健康について

ここではダイビングと健康に関する一般的な疑問に、耳鼻科医の先生がお答えします。

耳、鼻のこと

Q01.中耳炎だったのですが、ダイビングをはじめても大丈夫ですか?

中耳炎の種類によっては問題があることもあります。

たとえば慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎では専門医の診断が必要でしょう。

よくある急性中耳炎では、まれに鼓膜が破けて鼓膜にそのダメージが残り、薄くて破けやすい鼓膜になっていることがあります。これを再生鼓膜とか萎縮鼓膜といいます。

この状態は、たとえ今鼓膜に穴があいていなくても、聴力が正常でも、潜水は望ましくないといわれています。

多くの場合の中耳炎はきちんと治っていれば問題ないのですが、それは専門の医師の診察がないと判断できません。

一度でも中耳炎をやったことがある場合には、医師の受診をしてから潜るようにしましょう。

Q02.耳抜きがうまくできないのですが、体質ですか?抜けるように手術できますか?

耳抜き不良の原因は人によって違います。

私の医院では年間500人ほどの耳抜き不良患者さんが来院されます。

当院の治療で耳抜きが今までに治らなかった人はいません。ビギナーの多くは単に耳抜きが下手なだけです。

きちんと耳抜き動作ができているのに抜けない人は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がある人が多いですね。

耳管機能検査でなぜ抜けないのかを診断してもらい、自分にあった治療を受けることが大切です。

副鼻腔炎が原因で抜けない人、アレルギー性鼻炎で抜けない人にはそれぞれの手術がありますが、 それ以外に耳抜きをよくするための手術はありませんし、耳管の細さも体質も関係はありません。

Q03.花粉症とダイビングの関係は?

アレルギー性鼻炎があると、耳抜き不良や耳のリバースブロック、サイナススクイーズなどを起こすことがあります。

しかし、これはアレルギー性鼻炎やスギ花粉症の重症度とは比例しません。どんなに重い花粉症でも問題なく潜れる人もいますし、軽症でも全く耳が抜けなくなってしまう人もいます。

また、市販されているほとんどのアレルギー性鼻炎治療薬は、ダイビングの時の使用禁止成分が入っています。

医師から処方されるアレルギー治療薬で、地上で少しも眠気を感じないものであれば、潜水時に使用してもかまいません。

わずかに眠気を感じる程度の薬でも、浅い深度でひどい窒素酔いを起こすことがあるので、使用後の潜水は厳禁です。

薬のこと

Q04.薬を飲んだ後、すぐにダイビングしてはいけないのですか?

基本的にダイビングをするときには薬を飲んではいけません。

水中ではすべての薬の作用が増強するからです。

ものによっては心臓に作用して不整脈を起こしたり、眠気が出て何をしたか覚えていなかったり、喘息が誘発されてしまったりということが、地上では起きないのに水中では起きることがあるのです。

ただし、ダイビングに全く影響しない薬もあります。これらは潜水に詳しい医師に相談すれば分かります。

実際に潜水で事故を起こした人の約60%が何らかの薬を飲んでいます。

薬と事故の関連性は証明できませんが、この事実は重く受け止めるべきでしょう。

女性のこと

Q05.妊娠、生理中のダイビングはよくないですか?

生理中の潜水は全く問題ありません。

また、妊娠中のダイビングは世界的に禁止されています。

生理用品がパットタイプの方は、清潔のために潜水直後に交換するようにしなくてはなりません。海から上がったらすぐにトイレに行ける環境で潜るようにしましょう。

タンポンタイプの方は子宮内膜症になりやすいといわれているので、注意が必要です。

ただし、重い生理痛で痛み止めを飲み続けなければいけないときや、うつな気分の時にはダイビングを控えた方がよいでしょう。

生理がちょうどダイビング旅行に当たる場合には、生理を早めたり遅くするお薬がありますので婦人科にご相談ください。

持病のこと

Q06.高血圧なのですが、ダイビングしても大丈夫ですか?

高血圧の方のダイビングは、血圧が140/80にコントロールできていることが大前提です。

コントロール良好で、お薬を使わずに食事療法のみでコントロールができている高血圧の方の潜水は問題ありません。

お薬を使用してコントロールをしている方の場合、お薬の種類が問題です。

潜水時に使ってはいけないベーター系のお薬などでは潜水はできません。

潜水に影響しない血圧のお薬を使っていて、しかもコントロールができていれば潜水可能でしょう。

ご自分のお薬が潜水に問題がないかどうかは、専門医への相談が必要です。

減圧症のこと

Q07.もぐった後ひじが痛いのですが、減圧症でしょうか?

かなりの確率で減圧症の可能性があります。

もちろん他の病気の場合もありますが、その診断は極めて難しく、一般の整形外科医ではまず診断ができませんし、ほとんどの整形外科医は減圧症という病気すら知らないでしょう。

いつも潜った後に痛みがあるのでしたら、慢性減圧症の可能性があります。

きちんと診断治療をしないと、無菌性骨髄炎という骨がぼろぼろになってしまう状態になります。

ちょっとしたことで骨折を起こしたり、人工関節にしなくてはならなくなるので、注意が必要です。

Q08.潜水後、高所へ車で行くのもいけないのですか?

もちろんよくないことです。

潜水用語でいう「高所」とは標高300mをいいますが、これよりも高いところへの移動は減圧症発症のリスクになります。

関東では西伊豆での潜水後に箱根の峠越えをして、無減圧潜水だったにもかかわらず減圧症に陥る人が後を絶ちません。

海岸線沿いの低地ドライブだけで帰れないところでは、エキジット後に食事などをして十分時間を空けてから高所移動をしましょう。

最低限でも潜水後、高所への移動は6時間以上は空けることが推奨されています。

ちなみに、重大な潜水事故でヘリコプターで搬送する場合、減圧症リスクよりも救急搬送の方が重要になるので、高度500mで飛行することになっています。

Q09.潜水後のお風呂は、よくないのでしょうか?

減圧症にかかるリスクがあります。

潜水直後に熱いお風呂にはいることは、血管が拡張して組織からの窒素の放出速度が速くなり、たとえ無減圧潜水であっても減圧症にかかるリスクがあります。

熱いシャワーでも同じです。ただし、ぬるめのお風呂ならばよいでしょう。ダイビングで体が冷えているときには、ぬるめのお風呂に入ることは低体温症の予防にもなるのでよいことです。

また、エキジット後充分に時間を空ければ、普通のお風呂に入っても問題ないでしょう。やはりこれも6時間ぐらいは空けた方がいいでしょう。

Q10.減圧症は、完全に治るのですか?

重症だと死亡の場合もありますし、治る人も治らない人もいます。

障害を受けた場所や程度にもよりますが、なんといってもすぐに治療を受けたかどうかに関わっています。

減圧症は決して珍しくない病気ですが、自分だけはかからないと思っている方がほとんどで、身体の異常を感じていても、自分で受け入れがたく時間が過ぎてしまって治療が遅れ、後遺症になるケースもかなりあります。

潜った後に異変があれば、どんな小さな異常でもなるべく早く再圧治療ができる病院へ相談に行かなくてはなりません。

中にはかかってから2週間以内は治療費が高いことを知っていて、2週間を過ぎるまで我慢してから受診したために治らない人もいます。こういうのは論外です。

飲酒・喫煙のこと

Q11.タバコを吸っていると、やはりダイビングにも悪影響ですか?

もちろん悪影響があります。

タバコには一酸化炭素が多く含まれていて、ダイビング前にタバコを吸うと、水中で分圧が高まるために一酸化炭素中毒になる可能性があります。

また、タバコを吸うと喘息などの呼吸器関係の病気を引き起こしやすいですし、狭心症などの心臓病にかかることもあります。

これらの病気はダイビング中に起きれば致命的です。呼吸の機能という面からも、たばこを吸う人は肺の機能が低いので、すぐに息が上がったり、エアの消費が早くなります。

低体温症のこと

Q12.寒い海にウエットスーツで潜るとどうなりますか?

体の深部まで冷え込んで、低体温症(ハイポサーミア)に陥ってしまいます。

軽症のうちは震えが起きて止まらなくなり、体の動きが悪くなります。さらに進むと思考能力が低下してきますので、適切な判断ができなくなって危険です。

重症になると、心臓が止まることもあります。水温の高い南の海でも、ウエットスーツで潜って万が一漂流すると、長時間でハイポサーミアに陥る場合があります。

第二次世界大戦で軍艦が沈むと多くの死亡者を出しましたが、ほとんどは海面でハイポサーミアに陥って死亡したのです。ダイビング中に震えが起きたら危険サインです。すぐにダイビングを中止しましょう。

呼吸器系のこと

Q13.タンクの空気が臭いのは、体に悪いですか?

タンクの空気は、無臭でなくてはダイビングに使ってはいけません。

タンクの空気が臭いのは、コンプレッサーでエアチャージをするときにオイルが混入していることがほとんどの理由です。

こういうエアを吸うと、リポイド肺炎という病気のリスクも考えられますので、健康上よくないことです。

また、コンプレッサーの排気ガスが混入していて一酸化炭素中毒になったり、タンク内部にさびが出て爆発する危険があるタンク、という場合もあります。

いずれにせよ、タンクの空気は無臭でなくてはダイビングに使ってはいけません。

目のこと

Q14.コンタクトでダイビングしても平気ですか?

特に問題ありません。

ただし、慣れていない方はコンタクトを流してしまうことがありますので、マスククリアの時は目をつぶるなどの注意が必要です。

万一、なくしてもよいように、コンタクトで潜る場合にはデイユースにして、しかも現場に予備を持ってゆくと安心です。

また、コンタクトで角膜に傷ができているときにはコンタクトの使用はしない方がよく、海水の細菌が傷から入り化膿してしまうことがあるので、角膜に傷があるときは、使用は控えたほうがいいでしょう。

マスクのレンズが度入りだと、マスクを忘れたりなくしたときに潜れなくなってしまうので、度入りで潜る人でも予備にデイユースのコンタクトを持っていった方が安心です。

窒素酔いのこと

Q15.窒素酔いしない方法はありますか?

個人差が大きいので、これといった予防方法はないのです。

多くの場合にはだんだんと慣れて酔わなくなってゆくのですが、深いダイビングを繰り返すことは減圧症のリスクがあるのでよくないことです。

飲む量が多い少ないにかかわらず、お酒に飲まれて記憶を失うような人ほど窒素酔いをしやすいという傾向は確かにあるようですが、鍛えてお酒が強くなったからといって窒素酔いを起こしにくくなるということもないようです。

簡単に言えばその人によって限界深度が違うので、その深度を知っておいて超えない範囲の潜水計画を立てるのが一番の予防でしょう。

内臓疾患のこと

Q16.内臓の手術をしたあと、ダイビングは危険ですか?

手術の内容によっては問題になります。

肺や腸などの空洞がある箇所の病気では、その手術方式によって望ましくないことがあるのです。

たとえば、人工肛門を作るような大腸の手術では、特に配慮が必要です。

肺の手術でも種類によっては危険とされています。しかし、多くの手術では問題なく潜れるので、潜水が専門の医師にご相談ください。

また、手術自体も問題になることがありますが、手術をしなければならなかった原因の病気の方が、ダイビングに制限が出ることも多いことを知っていてください。

もちろん、運動をしてもよい状態まで回復したと担当医が判断し、運動許可があることは大前提です。

船酔いのこと

Q17.船酔いを予防する方法はありますか?

訓練によって船酔いは治ります。

酔っても船に乗り続ければ酔わなくなりますし、船以外で訓練するのでしたら、目を閉じて下向きでブランコに毎日5分間乗ってください。1ヶ月で相当酔わなくなります。

ブランコや船で訓練をしても酔いになれない場合には、ベースにめまいの病気を持っていることが多いので、耳鼻科医に受診してめまい検査を受けたほうがよいでしょう。

また、酔い止めの薬は必要最小限にしてください。毎回予防で飲むことは望ましくありません。

そのほか、食事を軽めにとる、可能ならばセッティングは乗船前にすます、船の中央に乗る、排気ガスを吸わない、酔ったら仰向けに寝る、エントリーとエキジットは一番はじめにすることなども有効です。

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