7.ダイビングの基本テクニック
ダイビングには、スポットや状況、楽しみ方などによって様々なテクニックがあります。
ここでは、ダイビングの基礎になる基本テクニックをご紹介します。
ビーチエントリー&エクジット
ダイビングの際、海に入ることを「エントリー」、海から上がることを「エクジット」と言います。
もっとも楽で安全なエントリーを常に考えましょう。
そのためにエントリー方法はいくつかのバリエーションがあります。
1.フィンを手に持ってエントリー
一般的に、波がなくエントリーしてすぐに深くならないようなエントリーポイントや、下がスロープではなくゴロタや岩場の場合は、フィンは手に持ってエントリーしたほうが楽です(ただし下がゴロタや岩場で、波が高い場合などは、あらかじめ滑らないところでフィンを履いてバディと体を支えあってゆっくりと入るのも一つの方法です)。
エントリーの方法は、ガイドロープがあれば、片手でしっかり握り、フィンをもう片手に持ったり、小脇に抱えたりして、ゆっくり歩いて海へと入るようにしましょう。
そして胸ぐらいの水深まで歩いていったら水中でフィンを履きましょう。こうすればタンクの重さも気にならずフィンを楽に履けるはずです。
ちなみに沖までフィンを履かずに歩いていくときは、腰を落として体を沈めて海底を蹴るように進むといいでしょう。
2.フィンをあらかじめ履いてから入水
マスクは、水中ではっきりと物を見るため、そして海水から目を保護するための器材です。
人間の目は、水中ではっきりと物を見るようにはできていません。マスクを用い、目と水の間に空気の層を作ることで、その先の水中でも物をはっきり見ることができるのです。
マスクには、2眼マスク、1眼マスク、多面タイプなどのさまざまなタイプがあります。
2眼マスクは最もポピュラーなタイプで、モデルバリエーションも多いです。
「度」入りのオプチカルレンズも揃っているものも多いので、視力矯正も容易にできます。
1眼タイプは、目と目の間にしきりがないので視界がすっきりしているのが特徴です。昔ながらの丸いレンズの一眼タイプは、カメラマンなどに愛好者が多くいます。
多面マスクは、正面以外にも下部やサイドにガラスをはめ込んだものです。視野が広いのが特徴です。
エントリーの注意点
次に、もしエントリーの際に波がある時の注意点です。
まずは波の様子をよーく観察してみましょう。
波がどのくらいの強さなのか、どういったパターンで繰り返されているのかといった特徴をしっかりと掴んでから、波の影響が一番少ないタイミングで海へと入るようにしましょう。
波が引くタイミングで泳ぎ始めるとスッと海に入れるでしょう。
波がある時に特に注意しておきたいのが、波にマスクやレギュレーター、スノーケルを飛ばされることです。
できるだけ顔を海に入れるときには、マスクを片手で押さえてレギュレーターのマウスピースをしっかり噛んでおくようにしましょう。
エントリーは、海況とエントリー場所の状況によりエントリー方法をその度ごとに判断することが理想です。
慣れないうちは素直に施設やガイドに聞くこと、他のダイバーのエントリー方法を観察することが大事です。
ガイドロープがある場合は、しっかり掴まって海に入りましょう。
フィンを持って入るか、履いて入るかはその場の状況によります。
波が高い時は、エントリー用スロープの上でフィンを履いているから海へ入りましょう。
エグジットは波の力を利用してスムーズにビーチへ上がりましょう。
エグジットの際、最初に行うことは、エグジットポイントの確認です。
エントリー用とエグジット用のスロープが分かれている場合なら、先にエグジットしたダイバーがしっかり上がりきっているかどうかを、もしエントリーポイントとエグジットポイントが同じ場所の場合は、さらにエントリーしてくるダイバーがいるのかどうかを確認してから上がるようにしましょう。
具体的には、エグジットポイントの手前の波の影響のないところで一度水面に顔を出し、エグジットポイントのダイバーの有無や波の様子を確認するといいでしょう。
ちなみにエントリー、エグジットが同一の場所の場合では、エグジットするダイバーを優先するのが基本ルールです。
しかしすでにエントリーしかけているダイバーがいる場合は、そのダイバーがエントリーし終わるまで沖合いで待機したほうがいいでしょう。
エグジットの際は、もし波がないようならば、エントリー時と同じように、タンクの重みが負担にならないような胸ぐらいの水深のところでフィンを脱いで、ゆっくりと歩いて海から上がるといいでしょう。
スロープを上がる際は、エントリー時と同じようにカニ歩きか後ろ歩きで。
少しでも波が来た場合は無理に進まず波をやり過ごしてからまた進むようにしましょう。
もし波が高い場合は、エントリーの際と同じように、転ぶことや器材の紛失を考えて、波の影響のないところまでフィンを履いたまま歩き、波の影響のない滑りにくい場所まで行ってから器材を脱着したほうがいい場合もあります。
また、もたもたフィンを脱いでいると他のダイバーのエントリーの邪魔になることもあるので、スロープ(ガイドロープ)の先までフィンを履いておいたほうがい場合もあります。
そういった際は、できるだけギリギリまで泳いで戻り、これ以上泳げないという浅い水深のところで四つん這いになって、そのままハイハイして上陸してしまうのが一番確実です。そして上がってからゆっくりとフィンを脱ぐようにすればいいでしょう。
エグジットの注意点
エグジットも、エントリーと同じように海況とエグジット場所の状況によりエグジット方法をその度判断することが理想です。
慣れないうちは素直に施設やガイドに聞くこと、他のダイバーのエグジット方法を観察することがやはり大切なのです。
できれば、エグジットポイントの手前の波の影響のないところで一度水面に顔を出し、エグジットポイントのダイバーの有無や波の様子を確認してから上がると安全です。
波が高い場合などは、フィンを履いたまま四つん這いになってハイハイしてスロープに上がったほうが転ぶ心配がなく安全です。
ボートダイビング
エントリー地点の環境、海況を見てその場にふさわしいエントリーを行いましょう。
ボートダイビングでのエントリーには、いくつかの方法があります。ダイビング用のクルーザーや漁船でも船縁が一部取れるようになっていてデッキが設けられている船では、ジャイアントストライドエントリーでエントリーするのが基本となります。
通常の船のように船縁から入る場合は、バックロールエントリーが一般的ですが、フロントロールエントリーやサイドロールエントリーなどを使ったほうがいい場合もあります。
どんな方法でも共通した注意点は、エントリーの際、船縁などに引っかけたりしないようにゲージ、オクトパスをなどをしっかり抱えるなり肩にかけるなりすること、着水の際、マスク、レギュレーターが飛ばないように、しっかりマウスピースを噛み、マスクとレギュレーター、マスクストラップを押さえることです。
そして着水面をしっかり確認し、前にエントリーしたダイバーはもちろんその他の危険がないかどうか確かめること。
着水したら、次にエントリーするダイバーのために船縁から離れること、などです。
ボートダイビングでのエントリーの注意点
着水したら次は潜降となります。
ボートダイビングの場合、アンカリングやブイが打ってある場合はロープ潜降ができるので、ビギナーならばゆっくりと耳抜きをしながら、ロープ伝いにフィートファーストで潜降していけばいいでしょう。逆にロープ潜降ができないようなポイントは、素早い潜降と確実な耳抜きができるようになってから潜るようにしたほうがいいでしょう。
ボートからのエントリー手段には、バックロールなどいくつかの方法があります。一番適したエントリー手段で海に入りましょう。
エグジットは安全に素早く動きましょう。
ボートダイビングでの浮上は、途中で安全停止を行う場合が多々あります。
アンカーロープがある場合は、それに掴まって停止していればいいですが、ドリフトダイビングなどでのシグナルフロートをあげての安全停止の場合は、捕まって安全停止できないので、しっかり中性浮力が取れるようでなければなりません。
ビギナーはアンカリングやブイが打ってあるポイントのほうがいいというのは、こういう点にもあります。
安全停止を終え、水面に上がったら、まずBCに空気を入れ浮力を確保しましょう。
レギュレーターレーターは船に上がるまではくわえておきます。
また、水面付近から水面上では決してボートのスクリューに近づかないようにしておくようにしましょう。
船に上がる際は、まずビギナーや女性から上がらせるのが一般的です。
ボートに上がる際は、フィンを脱いでから上がるのが基本です。片手でハシゴにつかまり、もう一方の手でフィンを外しましょう。
外したフィンは、ボート上にいるスタッフなどに渡して、両手をフリーにして上がるといいでしょう。
ウエイトを外してスタッフに渡してから上がる場合は、ウエイトベルトは、バックル部分を下に向けた状態で渡すようにしてください。そうすればウエイト玉が落ちるのを防げます。
年配の人や腰の悪い人たちは無理せず、船上のスタッフなどにウエイトやBC&タンクをはずして渡して、身軽な状態で上がるようにしましょう。
ボートに上がる際は、前の人が確実に上がり終わってから梯子に近づくようにしましょう。
前の人がバランスを崩して上の人が落ちてくる可能性だってあるのですから。
そして船上に上がったら、後から上がってくる人の邪魔にならないように、梯子から離れた場所に移動しましょう。
ボートダイビングでのエグジットの注意点
ボートに上がる際は、フィンを脱いでから上がったほうが安全です。
片手でハシゴにつかまり、もう一方の手でフィンを外しましょう。
潜降
基本知識をしっかり覚えて正しい潜降姿勢をマスターしましょう。
潜降にはいくつかのスタイルがあります。
足を下にして潜降するフィートファーストは、ビギナーでも行いやすい基本的な潜降方法で、足から沈んでいくためフィンの動きで潜降スピードのコントロールがしやすく、頭が上向きのため耳抜きがしやすいというメリットがあります。
もう一つの主な潜降方法はヘッドファーストです。この潜降方法は、フィンキックで推進力を得られすばやく潜降できるので、ドリフトダイビングや流れのある時の潜降にはいいです。ただし頭が下になるし、潜降スピードが速くなるので、耳抜きがしにくく、ビギナーでは耳抜きが追いつかない場合が出てきます。
慣れるまではフィートファーストで確実に耳抜きをしながらゆっくりと潜降するようにしましょう。
潜降を開始する時は、水面上でしっかりとBCのエアを抜き、肺の息を吐き切って沈みましょう。肺の息を吸ったときと吐いたときでは、浮力が2~3kg違ってきます。
なかなか沈まないという人の中には、肺の空気を吐き出し切れてない人も多いのです。
体が水深2mぐらいまで沈むまで、多少苦しくても息を吸ったらすぐに吐き、しばらく我慢するという呼吸を繰り返してみましょう。
水深2mぐらいまで沈んでしまえば、さほど呼吸を気にしなくてもあとは沈んでいくはずです。
水面下に沈んだら、BCの空気はもう抜く必要はないのでインフレーターや排気バルブを操作するのを止めましょう。
フィートファーストの場合の理想的な潜降姿勢は、若干の前傾姿勢です。
目的地である海底を見るようにして、少し前傾になるような姿勢を保つようにしましょう。重心が後ろに行ってしまってヒップファーストになってしまうと、姿勢制御やスピード制御が難しくなります。
もしヒップファーストになってしまったら、身体を半回転させ前傾姿勢に持ち込めばなんとか立て直しが利くはずです。
ヒップファーストはオーバーウエイトの場合になりやすいのです。
また、ヒップファーストまではなっていないとしてしても、潜降スキルはないけど潜降に苦労したことないという人は、オーバーウエイトの可能性がありますので、適正ウエイトをもう一度チェックして、正しい潜降ができるようにトレーニングしましょう。
理想的な潜降姿勢
フィートファーストの場合の理想的な潜降姿勢は、若干の前傾姿勢です。
目的地である海底を見るようにして、少し前傾になるような姿勢を保ちましょう。
耳抜き
コツさえつかめばほとんど方が簡単にできるようになります
ビギナーの中には耳抜きがうまくできなくて潜降に苦労しているダイバーも多いようです。
基本的に生理学的に耳が抜けない人は非常にまれで、耳が抜けづらい人は耳抜きのタイミングややり方に問題がある人が多いようです。
どうしても抜けない人はダイビング経験のある耳鼻科の診療を早めに受けることをお薦めます。
簡単の治療やアドバイスやトレーニングで耳抜きができるようになる人のほうが多いようです。
耳抜きのコツ
耳抜きは鼻を摘むバルサルバ法が一般的ですが、耳(中耳)への負担を考えるなら、ツバを飲んだり、顎を動かしたり、鼻をつまんでつばを飲む(ツインビー法)方法を利用するようにしたほうがいいと思います。
バルサルバ法はその後に使う方法です。
そして耳抜きがうまくいかない人ほどバルサルバ法で強く息む人が多いようですし、そうアドバイスする先輩も多いようです。
ですが、これは耳(内耳)を傷める可能性もありますので、決してお勧めできる方法ではないことを覚えておいてください。
耳抜きは体調によってしやすいときやしにくいときもありますし、ある程度経験を積んでコツをつかめばしやすくなることでもあります。
耳が抜けにくい人は、ダイビング前にガムをかんだり、陸上で何度か耳抜きをしておくと耳が抜けやすくなることもあります。
また、日ごろからあごを動かしたり唾を飲んだりして耳抜きしていると、水中でもうまくできるようになるので練習しておくといいでしょう。
あとはリラックスして慌てないようにゆっくりと耳抜きをして潜降するように心がけましょう。
ストレスがあると、耳は抜けにくくなるし、潜降もしにくくなります。
ちなみに、潜水後に綿棒で耳を掃除(かきむしる)している人をよく見かけますが、これもやめたほうがいいです。
外耳の損傷を招くケースがままあります。
耳抜きは無理に力いっぱい強く息んではいけません。内耳を傷める可能性があります。
フィンキック
正しいフィンキックをマスターして 楽チンダイビングになるように
ダイビングは、フィンによって推進力を得て前へと進み行うものです。
すなわちフィンキックはダイバーの行動を左右する一大要素となるのです。
ですが、このフィンキック、実はちゃんとできていない人が多いのです。
はたから見ていてもおかしなフォームで泳いでいるダイバーがたくさんいます。
正しいフィンキックができないと、なかなか進めないのはもちろん、姿勢も安定しないし、よけいに疲れてエアも消費してしまう、といったことになってしまいます。
たとえば「足首が曲がったままでフィンがうまくけり込めないため推進力が得られていないフィンキック」や「水の抵抗に脚力が負け膝だけを曲げたり伸ばしたりする運動を繰り返してしまう、いわゆる自転車こぎ」などをしている人は、ちゃんとトレーニングして直すようにしましょう。
正しいフィンキックは、足首がきれいに延び、ひざは曲がりすぎず、伸びすぎず、適度にしなり、そして左右のフィン先の開き具合は、大きく開いたときでも 30~50cm程度、といった感じのフォームです。
「足首」「ひざ」「足の開き」を常に意識しながら泳ぐようにするといいでしょう。
こういった正しい姿勢をマスターするためのトレーニングは、ダイビングの時だけではなく、水面休息時やダイビングの前後などのちょっとした時間を利用してのスノーケリングがてらにでもできます。
正しいフィンキックのマスターは、疲労の減少、エア消費量の減少、安全性の向上、潜れるポイントの幅が広がる、中性浮力のマスターに近づくなど、様々な効能があります。
一刻も早く正しいフィンキックをマスターして、ダイビングが軽やかに楽にできるようになりましょう。
理想的なフィンキックのフォーム
理想的なフィンキックのフォームは、足首がきれいに延び、ひざは曲がりすぎず伸びすぎず、適度にしなり、そして左右のフィン先の開き具合は、大きく開いたときでも30~50cm程度といった形です。
適正ウエイト
適正ウエイトをマスターして 自然なダイビングを行いましょう
正しい姿勢でしっかりと中性浮力をとってダイビングするには、ウエイトを適正に身につけなくてはなりません。
適正なウエイトを身に付けないと、例えばオーバーウエイトの場合、海中ではどんどん沈んでしまって危ないことこの上ないです。
また姿勢は上半身が立った立ち姿勢になってしまうので、水底では砂を巻き上げる、サンゴをけり折るなどの迷惑行為に至ってしまう場合も少なくありません。
さらに疲労度も高く、エアの消費量も増えてしまうし、BCにエアを頻繁に出し入れしないと浮力を保てないため、肺での微妙な浮力コントロールをする余裕がないので、結果として中性浮力をマスターできないままとなってしまうのです。
ビギナーの中には、スムーズに潜降するためにウエイトを増やす人がいますが、それでは正しい解決になっていないので止めるようにしましょう。
ちなみに、水面でBCにエアを入れないと浮いていられないようならオーバーウエイト状態です。
また、潜降に苦労するのは、ウエイト量の問題ではなく、スキル不足というのが一番の原因です。スキルアップのためにも、まず適正ウエイトでのダイビングをするようにしましょう。
注意点
オーバーウェイトで、お尻から落ちていくと、コントロールができなくなり危険です。
【さまざまな要素がウエイト量に関わる
適正ウエイトの決定とひとことで言っても、実はさまざまな要素が絡んでくるので、簡単には言えません。
ウエイト量の決定には、着るスーツ、例えばウエットスーツ、ドライスーツといった種類や3mm、5mmといった厚さや、アルミやスチールといったタンクの素材(アルミは水中ではスチールよりも軽いので、スチールよりウエイトを2~3kg重くする必要があります)、タンクの大きさ(8リッタータンクと12リッタータンクでは、入る空気の重さやタンク自体の重さが違う)、ダイバー本人の体脂肪率(同じ体重でも筋肉質と肥満体では脂肪の量が違う。脂肪は油なので水に浮く)などの要素があるのです。
また適正ウエイトは、エントリー直後のことだけを考えて決定するのではなく、エグジット寸前の時のことも考えて決めなければなりません。
空気には重さがあるので(1リットルで約1.3g)、エグジット間近のエアのなくなったときにはエントリー直後から比べると10リッタータンクで、2kgほど重量が減ったことになるのです。
安全停止の時に浮かないでしっかりと中性浮力を取れるようにするには、それを見込んで1~2kgほどプラスしてダイビングをスタートしなければならないのです。
自分に合った適正ウエイトをキチンと決めるには?
自分に合った適正ウエイトを決める方法は、Cカード講習の時にも習ったはずですが、浅瀬の水面で、浮上、潜降を繰り返すように行うといいでしょう。
息を吸ったときに浮き、吐いたときにはしっかり沈むようにウエイト量を調整しましょう。そして実際に潜るときは、タンクの空気の重さの消失分を計算して、安全停止中に浮かないように、1~2kg多めに装着しましょう。
前述したようにウエイト量は、さまざまな条件によって変わってきますので、着用したスーツやタンクなどに合わせて決定するようにしましょう。
ログ付けの時は、その条件をしっかり書き込んでおき、次回以降のウエイト量決定の参考にできるようにしておきましょう。
- ウエットスーツの場合の、適正ウエイトの目安
- 体重65~70kg:
- アルミタンク+5mmツーピース=6~7kg
- アルミタンク+3mmワンピース=3~4kg
- 体重50~55kg :
- アルミタンク+5mmツーピース=3~4kg
- アルミタンク+3mmワンピース=1~2kg
- 消費タンク圧×タンク容積=水面換算消費量(リットル)
- 水面換算消費量÷平均水深の絶対圧(気圧)=水中での消費量(リットル)
- 水中での消費量÷潜水時間(分)=毎分呼吸量(リットル/分)
- 「水に対する恐怖心」
- 「中層を浮かんでいることへの恐怖心」
- 「閉所・暗所などへの恐怖心」
- 「ダイビングスキルに対する不安」
- 「耳抜きへの不安」
- 「潜降への不安」
- できるだけ明るい場所
- 透明度が高く水のきれいな場所
- 暖かい海の水底のある場所
- 広々とした流れのない場所
- じっくりと景色や生き物を楽しむ
- 信頼できるインストラクターと一緒に潜る
※スチールタンクの場合はウエイト量を2kg減らします。
また、スーツはメーカーや使用頻度により浮力が違ってきます。あくまでも参考としてください。
中性浮力
一人前のダイバーになるために中性浮力をマスターしましょう
水中で自由自在に泳ぐためには中性浮力は不可欠です。
逆に言うと中性浮力がしっかりと取れるようになれば、一人前のダイバーといえます。
つまり、中性浮力とは、水中で自分の身体を自在にコントロールすることなのです。
「水中でピタっと止まれない」「いつも水底に落ちてしまう」「安全停止ができない」などといった症状のあるダイバーは、中性浮力が取れていないのです。
中性浮力が取れない要因は、「適正ウエイトでない」「呼吸での浮力コントロールができない」「エアの消費量が多い」「フィンキックがヘタ」などがあります。
中性浮力をしっかりマスターするための方法は、まずはオープンウォーター講習でならったフィンピボットを行うといいでしょう。
水底に腹ばいになり、息を吸うと身体が浮き、吐くと沈む状態になるまで、BCにエアを入れます。
そして何度か呼吸を繰り返して、身体が浮いたり沈んだりする感覚を覚えるのです。
これがよく聞く「肺のトリミング」で、肺の空気量を変化させ、浮力をコントロールすることなのです。
肺活量5000ccの人なら少し大きめの呼吸するだけで、約3kgの浮力が変わってくるのです。
そして、この呼吸で身体をコントロールできる状態が、中性浮力が取れた状態なのです。
ちなみに息を吸ったり吐いたりしてから身体が浮き沈みするまで2~3秒のタイムラグがあります。
ゆっくりと呼吸して、この間少し我慢するようにすれば、身体が浮き沈みする感じがわかりやすいはずです。
この呼吸による浮力のコントロールと適正ウエイト、BCへのエアの出し入れ、正しいフィンキックで、中性浮力の取れた安定した姿勢を保てるようになりましょう。
さらに、ダイバーは水中で常に同じ状態というわけではありません。
装備も変わるし、水深も変わる、流れの状況も違います。
そのときの状況に合わせて、中性浮力を取らなければならないのです。
中性浮力の最終目標は、どんな状況下でも最適な中性浮力のコントロールを行えるようになることです。
中性浮力の利点
中性浮力が取れてるようになれば、楽にダイビングができるようになります。
エア消費量について
エア消費量を見直してみよう!
ダイバーの中には、一緒に潜った人たちと比較して、自分の残圧が少ないと悩んでいる人が少なくありません。
しかしエアの消費量は、一概に他人と比較して多い少ないと決められるものではありません。。
女性よりも男性のほうがエアの消費量は多いし、身体の大きさ、肺活量の大小によっても消費量は全く違ってきます。
また同じようにダイビングをしていても個人個人で潜った水深は多少なりとも違ってきますので、ここでも差は出てくるのです。
エアー消費は他人との比較ではなく、ストレスが減って、スキルが上達(この判断は難しいのですが)した上で、多少の水中での動きの違いやストレスによって消費量が変動しない(安定する)ことが大切なのです。
自分の空気消費の多い人は、多い中でも安定してくると、自己のスキルを見直すより「これが自分の消費量だ」と思い込んでいる人が多いようです。
スキルのキッチリ判断できるインストラクターに見てもらうと、スキルの無駄があるケースがほとんどです。
消費量の目安と計算式は下記の通りです、一度自分の消費量計算をしておくといいでしょう。
空気消費量の計算と目安は、
※スチールタンクの場合は通常ウエイト量を2kg減らしますが、スーツはメーカーや使用頻度により浮力が違ってきますので、器材によって調整が必要です。
消費量の目安
エアの消費量は人によって異なりますが、自分の目安を把握して安定するように努力しましょう。
エアの消費量は少ないほうが良いのですが、ストレスやスキル不足などが原因でエアの消費量が増えてしまいがちです。
ストレスがあると呼吸は荒くなり、回数も増え、脳の酸素消費量も多くなります。
スキル不足は、フィンキックがちゃんとできないがために疲れてしまったり、ちゃんと中性浮力が取れないがために、無駄に呼吸を繰り返してしまっているなどがあります。
まずは、ストレスのないリラックスした状態でダイビングを行うようすれば、呼吸は落ち着き、無駄に大きく回数の多い呼吸をしないでも済むようになるはずです。
また、以下のような場合にもストレスが発生します。
「水に対する恐怖心」や「中層を浮かんでいることへの恐怖心」「閉所・暗所などへの恐怖心」などは、とにかくゆっくりした呼吸を心がけリラックスして楽しんでください。
たとえば、
といった、穏やかな場所であまり動き回らないダイビングなどが効果的です。
また経験値を増やしていけば段々となくなっていくということもあります。
「ダイビングスキルに対する不安」「耳抜きへの不安」「潜降への不安」などは、しっかりとしたスキルを身に付け、中性浮力が取れるようになると解消できてきます。
ストレスを取り除くためには、不安感のない環境や経験値の向上、スキルの上達などが効果的なのです。
また、絶対にやってはいけないことは、無理にエアの消費量を減らそうと呼吸を我慢することです。
そんなことをすると、身体の中に二酸化炭素が蓄積されていき、脳から呼吸中枢に「もっと空気が欲しい」という指令がいくため、自然と呼吸は増え、我慢する前よりかえって消費量が増えてしまいます。